QU4RTZ『Not Sad』歌詞考察
番外編QU4RTZ歌詞考察『Not Sad』
作詞:柿沼雅美 作曲:須田悦弘・栗田健
番外編の今回はQU4RTZ 2nd Single『Swinging』収録の『Not Sad』について語っていこうと思います。
基本的にはLiella!の楽曲のみを考察する当ブログですが、今回は番外編ということで「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」所属のユニットQU4RTZから『Not Sad』を取り上げたいと思います。この曲、音も歌詞も歌唱も最高なんですよ。ユニット曲ということでちょっと埋もれがちですが、もし読者の方でまだ聞いたことがないよーという人がいましたら、これをきっかけにぜひぜひ楽曲を好きになってもらいたいなと思います。
ではさっそく始めていきましょう!
まず最初に共有しておきたい点として、この歌詞は主人公の一人語りで進行していきます。「わたしたちは」「君と」等のワードから登場人物が二人いるようにみえますが、実際は「君」は目の前におらず主人公は一人きりでこの歌を詠んでいます。根拠についてはもう少し先で触れますね。
同じ気持ちでいられるって
わたしたちは信じてられるよ
だからこの手を離して
未来に伸ばして 夢を掴もうよ Bye Bye
舞い散る花 浮かぶ涙
そしてまた咲き誇る笑って
いつだって いつだって
君はこんなに大事な存在だから
たとえ別れたとしても「わたしたちは」「同じ気持ちでいられるって」「信じてられるよ」「また咲き誇る笑って」と、「大事な存在」な「君」との別れを肯定的に受け止める歌詞からこの楽曲は始まります。
続きを読んでいきましょう。
So long So long 心が強がっちゃって転んでた
So long So long 君だけ目に映した
So longは「サヨナラ」を意味しています。序文で「同じ気持ちでいられる」「また咲き誇る笑って」「だからこの手を離して 未来に伸ばして 夢を掴もうよ」と歌っていた主人公ですが、しかし本当は「心が強がっちゃって転んで」いました。悲しい気持ち、手を離してしまいたくない寂しさでいっぱいの心に映っているのは「君だけ」です。
ねぇそうだよ それでも そうだよ それでも
一緒だからいつでも
走ってた 走ってた きらめき
運命があの時 引き寄せた
想い出が明日を奏でる
繋がっているから 必ずまた会える
だって特別なんだよ
「心が強がっちゃって転んでた」だけど、だからこそ「一緒だからいつでも 走ってた きらめき」を思い浮かべます。「運命があの時」ふたりを「引き寄せた」「想い出」が今の自分を作っている。そして「明日を奏でる」んだ。心は「繋がっているから 必ずまた会える」「だって特別なんだよ」そう自分に語り聞かせるのです。
解説なんていらないくらい完璧な詞ですね。
サヨナラ それは答えじゃない
新しくはじまる道だよ
君と出会えたから 今があるんだ
ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかないよ
いまはサヨナラ 幸せの言葉
君に 君に 君に また出会う日は
どんな表情だろう もっと楽しいね
だから Not Sad Not Sad 次に見える景色に
離さないよ ときめく瞬間
あの日の「想い出が明日を奏でる」それはつまり「サヨナラ」が「幸せの言葉」に変わることを意味します。なぜなら「君と出会えたから 今があるんだ」つまりこの「サヨナラ」と胸の痛みは「君と出会えた」証明でもあるわけです。一緒に「走ってた きらめき」は確かにいまでも輝いています。その輝きを悲しみにしてしまうか、それとも「希望」にするかは自分次第。「ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかない」という言葉には決意と強い願いが現れているようです。「想い出」は「明日を奏で」ます。「君に また出会う日は どんな表情だろう もっと楽しいね」「だから Not Sad」悲しくなんてありません。「次に見える景色に」進むんだ、「君と出会えたから」ある「いま」を大切に「離さないよ ときめく瞬間」と歌詞は続きます。
ラブライブ!の楽曲ではしばしば「いま」というワードが登場します。「ぼくらはいまの中で輝きを待ってた」(『僕らは今のなかで』)「いまを重ね そして未来へ」(『WATER BLUE NEW WORLD』)といったように、「過去」から連なる「いま」この瞬間の輝きが「未来」へと繋がっている、そんなメッセージを『Not Sad』からも感じられます。
二番の歌詞に続きましょう。
たまに誰かが眩しくって
泣きそうにも弱気にもなるよ
いつも隣で悩んで
未来のゆくえを風に聞いてたね Bye Bye
同じ鼓動 刻む時を
巻き戻さなくていい 笑って
いつだって いつだって
前を向いたら何かが見えるんだから
「たまに誰かが眩しくって」の部分が誰を意味しているのか歌詞では明言されていませんが「泣きそうにも弱気にもなるよ」ということからすると、友達同士で仲良く歩いている人たちを見かけたときかもしれませんね。それは続きにある「未来のゆくえを風に聞いてたね」から想像できる主人公と「君」との関係からも想像できます。風が運んでくる未来の気配に耳を澄ましているというと、将来や進路を決めなくてはいけない学生時代を思い浮かべることができるでしょうか。「君」とはそんなときいつも隣にいた友達を指しているように思えます。だから、仲良く歩いている人たちを見かけると思い出してしまうのでしょう。
それでも「いつだって 前を向いたら何かが見えるんだから」「時を 巻き戻さなくていい」そんな前向きなメッセージからは、胸のなかの痛みや悲しみと向き合ってひたむきに未来を信じようとする主人公の気持ちが伝わってくるようです。
So good So good こんなに過ぎ去っちゃった毎日も
So good So good 宝石だって言えるよ
ねえそうだよ それだよ そうだよ それだよ
一生モノの輝き
つくってた つくってた 気付いた
解説の序文で『Not Sad』は主人公の一人語りとした根拠はこの箇所「こんなに過ぎ去っちゃった毎日も」にあります。主人公と「君」が過ごした日々はすでに遠く、別れからいくつもの毎日を重ねています。「君」はすでにこの場所にいないんですね。
「君」と出会った日から始まった毎日は、別れを越えてなお「宝石だって言える」なぜなら、その宝石が「一生モノの輝き」を放っていることに「気付いた」からです。
運命を見つけて抱きしめた
想い出をたくさんありがと
振り切った涙で もうすぐ花が咲く
ずっと特別なんだよ
出会いが「一生モノの輝き」だと「気付いて」、主人公は「運命を見つけ」ます。ここでいう運命とは、主人公と君とで作り上げた未来や希望(未来のゆくえを風に聞いていたね、がここで効いてきます)と言い換えることができるかもしれません。希望が見えたから「振り切った涙で もうすぐ花が咲く」だって、別れたとしてもふたりの関係は「ずっと特別なんだよ」
サヨナラ 決して迷わないで
大丈夫 信じた道だよ
君を想うたびに 強くなるんだ
だから Not Sad Not Sad 心のまま行けるよ
Not Sad Not Sad 微笑み合おうよ
大事なわたしの 大事な君との 大事な未来へ
サヨナラずっと 忘れないよときめく瞬間
ふたりの道はもう交わることはないかもしれない、と主人公は自覚しているような歌詞です。「サヨナラ 決して迷わないで 大丈夫 信じた道だよ」とは、自分自身に言い聞かせる言葉なのでしょう。「君を想うたびに強くなるんだ」だから大丈夫「心のまま行けるよ」と読むのが自然に思えます。(「君」への餞別の言葉と取ることも出来ますが、歌詞は全体を通して弱気になってしまいそうな自分の心を励ましているのだと解釈しています)
「大事なわたしの」(←わたしの大事な、と読み替えて良いと思います)「大事な君との 大事な未来へ」と続きますが「サヨナラずっと 忘れないよときめく瞬間」なので、やはり共にすごす未来ではなく、主人公と君のそれぞれの未来を示しているようです。そのうえで、それでも心は「繋がっているから」「必ずまた会える」と信じているから「君との未来」だと言えるわけです。
ラストサビに行きましょう。ここまでの考察を踏まえてみると、「ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかないよ」に込められた強がりや願いや祈り、悲しみを昇華させて共に過ごした日々を明日へと繋ごうとする気持ちが伝わってくるのではないでしょうか。
特別なんだよ
サヨナラ それは答えじゃない
新しくはじまる道だよ
君と出会えたから 今があるんだ
ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかないよ
いまはサヨナラ 幸せの言葉
君に 君に 君に また出会う日は
どんな表情だろう もっと楽しいね
だからNot Sad Not Sad 次に見える景色に
離さないよ ときめく瞬間
歌詞の考察は以上となりますが、『Not Sad』の魅力は歌詞で描かれるストーリーだけに留まらず、音の気持ちよさや韻の踏み方の巧みさ、QU4RTZのメンバーそれぞれの歌声やユニゾンなどなど、あげればきりがありません。ぜひ楽曲の魅力をたくさんみつけていただければ、そして当ブログがその一助となればと願っております。
ということで『Not Sad』については以上です!
ここまで読んでくださりありがとうございました!!それでは、また次回お会いしましょう!
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(当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)