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ラブライブ!の歌詞を考察するブログです

Liella!『この街でいまキミと』歌詞考察

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第9回Liella!歌詞考察『この街でいまキミと

作詞:宮嶋淳子 作曲:家原正樹

今回はテレビアニメラブライブスーパースター!!EDシングル『未来は風のように』収録の『この街でいまキミと』について語っていこうと思います。

(『未来は風のように』(TVサイズ)についてはこちらの記事にて紹介しています) 

 

 

曲のレビューをするたびに毎度言ってるんですけど『この街でいまキミと』名曲ですね!! しかし解釈に迷う楽曲でもあります。

歌詞には「この友情はかわらないよ」とあるので素直に受け取れば友達同士の歌なんですけど、なんせラブライブ!は男のいなくなった世界。友情の歌のように見せかけた恋愛ソングなんじゃないか、とか邪推もしていまいます。

とはいえ、この曲が”ありきたりな恋愛ソング”だったらこれほどの魅力を備えてはいなかったでしょう。というわけで当ブログでもこの楽曲は恋愛ではなく友情の曲として紹介していきます。

 

ところで歌詞考察のまえに、ひとつ共有しておきたい点があります。『始まりは君の空』の考察(こちらの記事)にて、あくまで持論ですがLiella!の楽曲には「ふたりの登場人物」がいるということを解説しました。この楽曲にも(最低でも)「ふたりの登場人物」が登場します。どちらの楽曲も登場人物は同じだと仮定することで楽曲の解釈が深まるため、今回もその線で読み解いていこうと思います。(作詞家があちらは畑亜貴さん、こちらは宮嶋淳子さんで異なるため、独自解釈な可能性が高いのですが考察と書いて妄想と読むのはご存じのとおりですね?)もし『始まりは~』の考察記事を読んでいないようでしたら、あとで目を通していただけるとより分かりやすいかと思います。

 

さて、それでは始めて行きましょう。

・・・・・・なのですがこの楽曲は解釈が難しいんです。考察なんかしないでそのままま素直に聞くのが一番最高なんですよね。二番の序文なんて解説しなくても情緒の深みが強いじゃないですか。こんな素敵な詩を、あれこれ言葉を並べて講釈垂れるのはちょっと負い目を感じちゃいますね。

いえいえ、そんなことを言わずに好きの共有をしていこうよと自分に言い聞かせ、気を取り直して始めましょう!よっしゃ!(←『未来予報ハレルヤ』の考察記事はこちら)

 

 いつも待ち合わせより15分前集合

 駅の改札ぬける ざわめきにわくわくだね

 

秀逸な歌詞です。解説なんて不要な完成度の高いフレーズですね。宮嶋さん最高。

15分も前に集合、わくわくしている気持ちが伝わってきます。

 

 どこへ向かうかなんて 気にしないであるいてく

 いっしょに過ごすってこと それが一番大事だよ

 

 未来の色はまだ ぼやけて見えやしない

 ただひとつ分かるのは キミが キミが 好きだ

 

これもまた秀逸な歌詞です!!!解説不要!!!!

なんて言ってたら何も書けないのでちょっとだけ。歌詞のこの部分「キミが 好きだ」から恋愛の曲と読みたくなりますが、この楽曲の魅力は「友情」なところなのでぜひ恋愛ソングとしてではなく、友情ソングとして聞いてほしいです。恋愛ソングとしてとらえた場合と聞こえ方が全然変わるので面白いですよ!

 

 どんなときも踊るように 交差点こえていけ

 押し寄せる人の波 するりすり抜け自由自在さ

 

このフレーズからは『未来予報ハレルヤ!』の「交差点 はしゃぐ風 スカートひらり踊る」を彷彿とさせられますね。(『未来予報ハレルヤ』の考察記事はこちら)作詞はどちらも宮嶋さんなので「風」を大切なキーワードとしておられる方なのかもしれません。

 

 どんなときも踊るように 交差点こえていけ

 押し寄せる人の波 するりすり抜け自由自在さ

 キミは少し前の方で いたずらに笑ってる

 ありきたりないまでも 最高の「いま」さ

 この友情はかわらないよ

 

(歌詞の連続性に詩的な含みがあるので、重複ではありますがあえてサビの歌詞を冒頭から引用しています)

サビに出てくる「キミ」とはいったい誰を指しているのか、この解釈が難しかったです。特定の誰かではなく、友情の対象としての概念的「キミ」(つまり聞き手であるあなたに解釈はゆだねられている)とするのが順当な考察ではありますが、ここはあえて『始まりは君の空』に登場する人物Bであると仮定しましょう。主人公は人物Aです。

(『始まりは君の空』の考察はこちらの記事

始まりは~』において「未来への道がどこかに隠れているかも」「だから確かめにいこう」「手を繋いでおけば 怖くない!」と人物Bは主人公Aを励まします。『この街でいまキミと』にでてくる「キミ」を、この人物Bだと仮定すると

 

 キミは少し前の方で いたずらに笑ってる

 

 この部分の歌詞が意味を帯びてきます。「まだ名もないキモチが 違う明日を見たがって」いた主人公Aの手を引いてきた人物Bは「少し前の方」にいます。ちょっとだけ先を歩いているんですね。「いたずらに笑って」主人公Aを誘っているのでしょうか。

少し前」というフレーズから、主人公ABのあいだにはわずかな距離があることがわかります。わずかな距離=憧れの距離と言い換えてもいいでしょう。こう考えてみると情感の豊かさが増すでしょ?ちょっと強引な考察ですが、筆者好みなのでこのまま押し通していきましょう。

 

この調子で2番の歌詞に進みます。

 

 答えのないことばっか ループしてずっと喋ってる

 ペットボトルのしずく 指でもてあそびながら

 

秀逸!! なんて素敵な歌詞でしょう。ペットボトルからしずくが垂れていることから、季節は初夏~秋だと考えられます。(暑い日に冷えたペットボトルからしずくがおちるあれです)これがグラスのしずくだとファミレスやフードコートや喫茶店になるけれど、ペットボトルが選ばれている点も雰囲気最高です。

そしてこの楽曲を”恋愛ソング”としてとらえてしまうと色あせてしまうフレーズでもあります。いえ、恋愛ソングの場合は違う解釈が生まれるのでそれはそれなのですが、筆者は”友情ソング”としての解釈を推します。だってこの空気感、学生時代を思い出しませんか?

たとえば文化祭の準備のとき、渡り廊下でちょっとサボりながら濡れたペットボトル片手にくだらないお喋りをしたあの瞬間の永遠さ。この友情はかわらないよ、ってずっと信じていたあの瞬間の輝き、思い返せば切なくなるほどに胸の中で光っています。

 

 楽しい時間てさ なぜかあっという間だね

 心は空っぽで はずむ はずむ ひかる

 

心は空っぽ」はネガティブなイメージのあるフレーズですが、文脈から察するに「心は(不安とか悩みとかまるっきり)空っぽで」「はずむ」「ひかる」と捉えるのが自然でしょうか。

 

 ゆるめのリズム踊るように 一秒ずつを遊べ

 いつか手を伸ばしても 届かなくなる日がくるのかなぁ

 それでもいーんだ! 茜色に染まる空めがけて

 大きな声でキミに約束するよ

 この瞬間は永遠だって!

 

 セカイはどこまで続いてゆくんだろ

 分からないからキミといまだけを見てるよ

 

この楽曲の最大のエモパートです。

いつか手を伸ばしても 届かなくなる日がくるのかなぁ

ですよ? 学生時代のあの気持ちがわきあがって、胸が切なくなっていてもたってもいられなくなりそうです。だけど

それでもいーんだ!」「この瞬間は永遠だって!

瞬間は過ぎ去るからこそ瞬間なのであって、永遠とイコールにはなりえません。それでも「この瞬間は永遠だ」と言えるのは・・・・・・理屈や言葉で説明するものではありませんね。しかしひとつ言えるとすれば”過去は永遠に変わりません”変えられないからこそ、永遠に輝いてくれる。そんなふうに思えるのです。それゆえの「一秒ずつを遊べ」なんです。

セカイはどこまで続いてゆくんだろ

世界ではなく”セカイ”とするあたりに、歌詞の主人公(少年もしくは少女)にとって”世界はまだ遠くて実感のわかないもの”だということが伺えます。

分からないからキミといまだけを見てるよ

尊いですね。説明不要です。

この「いまだけを見てるよ」及び1番のサビにある「最高の「いま」さ」からは、ラ!サンシャイン!!『WATER BLUE NEW WORLD』の歌詞を連想させられます。いつか必ず訪れる明日だけれども「いまはいまで」「昨日とは違う」そして「明日への途中」でもない。そんなメッセージを思い出しました。

 

この流れで1番のサビを繰り返します。繰り返されたことでサビの意味が変わるのが面白い仕掛けです。

 

 どんなときも踊るように 交差点こえていけ

 押し寄せる人の波 およいでゆこう この街でいま

 

ラ!スパスタ!!の舞台は青山や表参道、原宿などです。あのあたりで交差点というと、あそこの大交差点でしょうか。「押し寄せる人の波 およいでゆこう」「この街でいま」あの街並みを歩いていく光景が目に浮かぶようです。

同時にこれは時代の流れや社会の風をも描写しているように思えます。「セカイはどこまで続いてゆくんだろ」「分からないからキミといまだけを見てるよ」からの「押し寄せる人の波 およいでゆこう」です。ちょっと不安な気持ち、未来が見えない気持ちが表現されているようです。

 

 キミは少し前のほうで いたずらに笑ってる

 ありきたりなことでも ぜんぶ特別さ

 わたしたちずっと友達だよ

 

瞬間は過ぎ去るからこそ永遠には続きません。けれど友達だった過去、胸のなかに名残る暖かさや眩しさ、好きな気持ちのカケラは変えられない過去だから永遠に消えません。「わたしたちずっと友達だよ」は、大げさでも、若さゆえの思い上がりでもなく「ありきたりな」「特別」を積み上げた結果たどり着く「この友情はかわらないよ」なのです。

 

どこへ向かうかなんて 気にしないであるいてく

未来の色はまだ ぼやけて見えやしない

ただひとつ分かるのは キミが キミが 好きだ

 


と、いうことで『この街でいまキミと』については以上です!

ここまで読んでくださりありがとうございました!!それでは、また次回お会いしましょう!

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(当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)