Liella!『START!! True dreams』歌詞考察
第2回Liella!歌詞考察『START!! True dreams』
作詞:畑亜貴 作曲:小畑康裕
前回に引き続き、今回はテレビアニメ「ラブライブ! スーパースター!!」OP主題歌『START!! True dreams』について考察をすすめていきます。
(関連の深い楽曲『始まりは君の空』考察はこちら)
これもいい曲ですよね!
新曲が出るたび言ってそうですが、過去作のOP/EDのなかでも屈指の作り込みがなされた名曲だと思っています。
『始まりは君の空』から宇宙要素を引き継いでいるのも注目ポイントですね。MVは東京2020オリンピックの開会式会場と同じでしょうか、ちょうど公開時期とオリンピックが重なったので感慨深さがありました。
いつか新国立競技場でライブをする日が来るのでしょうか。ライブといえばLiellaのファーストラブライブ!も開催決定したということで、今後もますますスーパースターっぷりに磨きがかかるだろうと思うと、ほんとうに楽しみです。
↓それではここからが本題です↓
まず前提として今作を『始まりは~』の続きとして定義したうえで考察しましょう。
前回の記事では『始まりは君の空』が登場人物AとBの語り合いであることに注目しました。それを踏まえて歌詞を分析すると今作は登場人物Aの一人語りの楽曲であることがわかります。
『始まりは~』にて
始まりたいぼくの夢
(中略)
星の光よりも小さな輝きだけど
いつか大きくなる気がして
と歌っていた人物Aがこの楽曲では
本当の夢は とまらないんだね
いま心が駆け出すんだ
ですよ!?成長してる!!夢を見つけてる!
もうタイトルのまんま、START!! True dreamsなんですよ。すっごい情緒深さ!畑亜貴の本気の力!
歌詞全体が夢を見つけて駆け出したい気持ちで溢れています。好き。
(注釈:本当の夢を見つけたのは1stシングルのカップリングにある『私のSymphony』ですね。歌詞にて登場人物Aの一人語りが展開されていました)
さて、この歌詞はアニメ第1話とも連動しています。
詩をひとつひとつパート分けして考察をすすめましょう。
本当の夢は とまらないんだね
いま心が駆け出すんだ
まずは出だしのフレーズ。「本当の夢はとまらない」の部分に注目です。
アニメ『ラブライブ!スーパースター!!』の主人公、澁谷かのんには夢がありました。それは「歌でみんなを笑顔にすること」
しかしその夢は第1話冒頭にて否定されてしまいます。理由は人前で歌うことができないから。「夢は猫を飼うことです」なんて言ってしまうほど、自分で自分の夢を否定しているわけです。
しかし、かのんが抱く「歌が好き!」という気持ちに曇りはありません。本当の夢はかのんの中にちゃんと眠っているということです。
自分のなかにある「名もないキモチ」をかのんが自覚するきっかけは、中国からやってきたスクールアイドルに憧れる少女、可可(くぅくぅ)との出会いです。
歌詞のなかでは率直にこう表現されています。
ああきっと待ってたんだ
出会いが僕らのスタート
夢と夢が 惹かれあって始まるよ
直球ですね。畑亜貴さんの作詞にはこういった素直な表現が多用されているように思えます。
と、ここでひとまずアニメ「スーパースター!!」については横に置くとして、『始まりは~』の続きとしての『START~』を分析しましょう。
分析、というよりも「エモさの共有していきましょう」が正確かもしれません。
繰り返しますが『始まりは~』は登場人物AとBの語り合いであることを前回の記事にて解説しました。
(前回の記事はこちら)
始まりは~では、登場人物BがAのなかに眠る「名もないキモチ」を励ます構造となっており人物Aのパートは最小限にとどめられていました。
まだ「名もないキモチ」がどんな夢なのか人物Aには分かっていないまま、「始まりたい僕の夢 星の光よりも小さな輝きだけど」と歌います。
それが、どうでしょう。この楽曲では、
本当の夢は とまらないんだね
いま心が駆け出すんだまぶしい空見上げ 大声で歌っちゃおう
ですよ? 眩しいくらいきらきらしていますね。
きっとその隣には人物Bもいるはずです。
やりたいことがあるってさ毎日楽しいね
君も そう感じているかい?
さらには念押しで
ずっと待ってたって分かった 君とのスタート
つまりこの歌詞においても登場人物は(最低でも)2人います。
この世界のどこかで二人の少女(もしくは少年)が互いに共鳴して輝き始める様子が目に浮かぶようです。『START!! True dreams』は『始まりは君の空』へのアンサーソングとして、これ以上ない歌詞だと思いませんか?思いますよね!
ここで改めて思う畑亜貴さんの歌詞の秀逸なところはアニメの内容と連動させつつ、聞き手であるあなたにとっても「これは自分のための歌だ」と思えるような構造を取っていることです。たとえば
忘れないで 大好きは消えないよ
隠れていたって 胸には刻まれてるよ
これは人物A(もしくは澁谷かのん)が、自分自身に言い聞かせている歌詞とも取れますが、同時に歌を聞く「あなた」に向けてエールを送るような歌詞とも取れます。
「始まりは~」で人物Bに励まされていた人物Aが、今度は「あなた」を応援している。もう感動しかない。
続いてこの曲の最大の情緒深いポイント
スタートラインに立ったら ゴールは遠く遠く
でもね キラリ輝く僕らの星(スター)
このパートは『始まりは~』にある「星の光よりも小さな輝きだけど」と通じるものがあります。
人物Aの語りであることを示唆する箇所でもありますが、それは置いといて、この詩を語っている「僕」はすでに「スタートラインに立っ」ています。つまりこの歌詞は夢の始まりにわくわくしているのではなく、スタートラインに立ち、そうしてゴールの遠さを知った人物のものなのです。(←重要)
ここを押さえることで楽曲にたいする認識がぐっと深まりますね。
夢と夢が 惹かれあって始まるよ
人物AとBそれぞれが互いの夢に惹かれあってTrue dreams(複数形)が始まる。
これは澁谷かのんと可可が出会うエピソードにも重なりますが『始まりは~』の登場人物AとBの歌詞とも受け取れます。始まりは~の歌詞を、こうして補足し拡張しているわけです。
1stシングルとテレビアニメ一期OPの楽曲がどれほど巧みに作りこまれているのか、歌詞だけでも実感できるポイントでした。
『START!! True dreams』については以上です。ここまで読んでくださりありがとうございました。
それでは、また次回お会いしましょう!
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(繰り返しますが当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)