ラブライブ!スーパースター!!を語りたい!!!

ラブライブ!の歌詞を考察するブログです

Aqours『KU-RU-KU-RU Cruller!』歌詞考察

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番外編Aqours歌詞考察『KU-RU-KU-RU Cruller!

作詞:畑亜貴 作曲:Kanata Okajima, Soma Genda

番外編の今回はAqours モンストコラボシングル『KU-RU-KU-RU Cruller!』収録の『KU-RU-KU-RU Cruller!』について語っていこうと思います。 

 

アニメーションPVがとっても可愛い名曲ですね! 

3Dモデルのうえに手書き作画を重ねた手間とお金をかけた作品だそうです。わざと3Dモデルのフレームレートを下げることでCGを手書き風に見せる工夫などもしているようで、見ごたえのあるPVです。個人的には花丸ちゃん善子ちゃんのキャラデザが一押しですね。靴のかかとをコツンってするところ最高にかわいいよね!

 

さて、ポップでキュートな『KU-RU-KU-RU Cruller』ですが、歌詞に注目してみるとそこに込められた胸の熱くなるメッセージに気がつきます。新型コロナウイルスが流行している今だからこそAqoursが伝えたいメッセージに注目しつつ、歌われる楽曲の魅力を紐解いていきましょう。

 

 

 Happy dance happy dance

 KU-RU-KU-RU happy dance

 Happy dance happy dance

 

 Happy dance happy dance

 KU-RU-KU-RU happy dance

 Happy dance happy dance

 

クルクルハッピーダンスってカタカタで書き起こしてみるとちょっと頭のネジが緩んでて畑亜貴さんらしさのある作詞だなーって感じました。

ちなみに畑亜貴さんの作詞にはちょっと癖があって、たとえば虹楽曲の『NEO SKY , NEO MAP!』のサビにある『夢見て憧れて また夢が見たいんだ 見たい 見たいんだ!』のように、同じ言葉を重ねて使いがちなんですよ。作詞ではなく小説の作法の話になるのですが、基本的に同じ言葉の繰り返しは避けるのが巧みだとされてるんですね。歌詞の作法は小説よりも自由とはいえ、型破りな作風が元気いっぱいなサンシャイン!!っぽさを演出しているようにも思えます。

 

話を『KU-RU-KU-RU』(略)に戻しましょう。第一節はこうです。

 

 空はつながってるよ

 海もつながってるよ(君へと)

 いつだって いつだって

 心のなかで会えるから

 

』『』はそれぞれサンシャイン!!Aqoursを彷彿とさせるワードですね。

』も『海も』『(君へと)』『つながっているよ』『いつだって 心のなかで会えるから

Aqoursはいつだって君(リスナー)とつながっているよ』そんな思いが伝わってくるようです。

 

二節目です。

 

 さあ目を閉じれば現れる

 僕らのステージが

 Let`s dance with me

 飛び込んだ世界で 夢よまわれ…まわれ!

 

目を閉じれば現れる 僕らのステージ』 ← 目を閉じれば、に注目です。

コロナの影響で有観客ライブが繰り返し延期・中止となるのを経験したAqoursのキャストそれぞれの心境を想像すると、ワンフレーズに込められた情感に気がつきます。

それはサビにも表れています。

 

サビに進みましょう。

 

 どうなっちゃうんだ?

 楽しいなら大丈夫さ

 新しいやり方で Make you happy!

 おなじキモチだって

 分かっちゃう いつも分かっちゃう

 君の想いが分かっちゃうんだ

 

新しいやり方』=『生配信ライブ』を連想しませんか?

キャストのみなさんは社会情勢の変化で、これまでと同じやり方ではファンと関わることができなくなって『どうなっちゃうんだ?』と不安や歯がゆさを感じたかもしれません。(ちょっとおどけた雰囲気がシリアスになりすぎず丁度いいですよねー)

だけど『楽しいなら大丈夫さ』『新しいやり方で Make you happy!

きっとファンの想いもAqoursの想いもつながっていますよね!

 

2番に進みましょう。

 

 空へ向かって歌う

 海に語りかけてる(今もね)

 いつだって いつだって

 耳をすませば聞こえるよ

 

(今もね)』←テクニカルなフレーズです。この三文字があることでAqoursとファンの距離が時間と空間を飛び越えてぐっと縮まります。

(今もね)』とは、リスナーが楽曲を聴いている、いまこの瞬間を指しているのでしょうか。このワンフレーズがAqoursとファンを繋ぎ、『目を閉じれば現れる 僕らのステージ』は時間と空間を超えます。現実の世界では同じ時間と空間を共有していなくても『いつだって心のなかで会えるから

 

Aqoursらしいポジティブな歌詞はさらに加速します。

 

 そう目を開いても終わらない

 僕らのステージは

 Endless passion

 重なった世界で 夢よまわれ…まわれ!

 

まるで夢のように『目を閉じれば現れる』『僕らのステージ』ですが、しかし『目を開いても終わ』りません。続く『重なった世界で』というフレーズからは、ネット越しのライブ配信だけど、まるで夢が現実と重なるように、画面越しではあるけれど確かに繋がっている、そんな思いが込められているのかもしれません。

 

 どうなっちゃいたい?

 ずっとずっと遊んでたい

 遠くても君の声で Make me happy!

 おなじキモチだよね

 君の願いも分かっちゃうんだ

 

遠くても君の声で Make me happy!』←胸熱です!

有観客ライブが延期・中止になってファンのみんなもがっかりしたり、さみしく思ったりしたけれど、きっともっとしんどかったのはAqoursのキャストのみなさんかもしれないなーとか想像してみました。準備も練習もずっと前から重ねてきて、Withコロナのやり方で野外ライブを計画したりと、どうにかファンと会えるよう頑張ってきたけれど願いはかなわず、悔しかっただろうと思います。

そういった一連の流れを踏まえて聴くと『遠くても君の声で Make me happy』このフレーズにはAqoursからファンへの信頼が込められているようです。

 

ファンへの熱い思いは続く歌詞にも表れています。次に進みましょう。

 

 ツナガリタイ

 いつだって君へと 繋がる場所がある

 心から心へと 繋がる音は消えないよ

 

 信じているんだ

 君には伝わると 大好きが伝わると(大好き!)

 

信じているんだ』というフレーズからは、これまでは現実の世界で向かい合っていたAqoursとファンの関係が『新しいやり方』=配信ライブに変わったとき、それでも観客のみんなには『大好き!』が届いていると信じるAqoursからファンへの信頼と願いと祈りが込められているように思います。

 

まるで決意表明のような歌詞はさらに続きます。

 

 これだけは変わらない

 To make you happy!

 出会えたことが Lucky 君が笑えば Happy

 Ah 単純だね 君が大好きだよ!

 

社会情勢が変わってこれまでと同じやり方ではなくなってしまっても『To make you happy!』(=君を幸せにするため!/若干意訳ですが)変わらないこと、それは『Ah 単純だね 君が大好きだよ!

畑亜貴さんの率直な歌詞がAqoursの想いと重なって沁みますね!

 

歌詞は次のように締めくくられます。

 

 どうなっちゃいたい?

 ずっとずっと遊んでたい

 遠くても君の声で Make me happy!

 おなじキモチだよね

 君の願いも分かっちゃうんだ

 

 どうなっても楽しいなら大丈夫さ

 新しいやり方で Make you happy!

 おなじキモチだって

 分かっちゃう いつも分かっちゃう

 君の想いが分かっちゃうんだ

 

 Happy dance happy dance

 KU-RU-KU-RU happy dance

 Happy dance happy dance

 Happy dance happy dance

 Happy dance happy dance

 

どうなっても楽しいなら大丈夫さ』←胸熱!

だってやっぱり有観客ライブができなくっていちばん不安なのってキャストのみんなだと思うんです。だからこそ、明るい曲調に隠された熱い思い、ファンへの信頼が伝わってきて、胸がぐっときちゃいます。

 

ということで『KU-RU-KU-RU Cruller!』については以上です!

コロナで変えられてしまった社会だけど「ファンへ届けたい想いは変わらないよ! この気持ちがみんなに届いてるって、同じ思いだって信じてるよ!」というAqoursからのメッセージ、読者のみなさんにも伝えることができたでしょうか。

もちろん楽曲の解釈はリスナーの数だけ存在するので、これが唯一の正解というわけではありません。それぞれの視点から楽曲の魅力を発掘していく一助になればいいなって思ってます!

 

ここまで読んでくださりありがとうございました!!それでは、また次回お会いしましょう!

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(当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)

Liella!『リエラのうた』歌詞考察

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第12回Liella!歌詞考察『リエラのうた

作詞:宮嶋淳子 作曲:小幡康裕

今回はテレビアニメラブライブスーパースター!!特別パート『リエラのうた』について語っていこうと思います。

 

お久しぶりです!

なんとなくモチベーションがわかず、別件で原稿に取り組んでいたこともあって久々の記事公開になってしまいました。なぜ突然、今頃になって再開したのかというと……

 

なんと!!『Liella! First LoveLive! Tour ~Starlines~ 群馬公演Day1』現地参加してきました!!やったね!よっしゃー!

 

キャストの生歌とパフォーマンスを観ていたら、もう完全にときめいちゃったわけです。とりわけ印象的だったのが今回の記事で扱う『リエラのうた』でした。メンバーそれぞれがソロで情感をこめて歌い上げるんですよ。すごかったです。

実は『リエラのうた』についてはテレビ放送時から、あんまりピンとこなかったこともあって記事にするつもりはありませんでした。自分を含め、似たような感想を抱いている方って少なくないと思うんですよ。

そんなあなたにとって、この考察が『リエラのうた』の良さに気付くきっかけになりますように!

 

それではまず最初に宮嶋順子さんのツイートから紹介します。

 

 

『リエラのうた』は全曲を並べるとひとつの物語が見えてくる。

ということで今回の考察記事では七曲を通してどんな物語が紡がれているのか紐解いていこうと思います。いままではひとつの記事につき一曲だったのでちょっと変則的ですが、歌詞の世界観を大切に考察していきましょう!

その前にひとつ共有しておきたいのですが、本記事では楽曲を『歌詞で表現されていること』のみに絞って考察しています。アニメーションで誰が歌っていたか、物語のなかでどのような位置づけにあるかといった要素は楽曲を読み解くうえで大切なものではありますが、あえて『歌詞で表現されていること』のみを切り取ることで見えやすくなる魅力があるはず、と意図しています。

 

ではさっそく始めていきましょう!

さくっと内容を確かめたい方は目次から『まとめ』に飛んでください。

*曲を聴きながら解説を読むのがおすすめです!!*

目次

 

一曲目『Primary』 

クロッカスの花がモチーフとして使われています。花言葉は「青春の喜び」「切望

タイトルはいくつもの意味を含んだ言葉ですが「はじまりの」もしくは「本質的なもの」と訳すのが妥当でしょうか。

 

第一節と二節の歌詞はこうです。

 

 木漏れ日の下くちずさむ

 覚えたてのメロディ

 とぎれるたびにそっと

 寄り添うようにあなたの声

 

 新しい季節の出会いは

 なぜだか懐かしくて

 増えてく気がしてる

 かけがえのないうた

 

寄り添うようにあなたの声』とあることから、歌い手『』のほかに『あなた』がいることがわかります。『リエラのうた』は全曲を通し、歌い手の『』が『あなた』との物語を紡いでいく構成となっています。

さて、解釈に悩むポイントですが『新しい季節の出会いは なぜだか懐かしくて』とはなにを意味しているのでしょうか。『新しい季節の出会い』が『なぜだか懐かし』い理由については、詩の全体を順番に読み解きながら考えていきましょう。

まず二節目には『新しい季節』と『出会い』そのたびに『かけがえのないうた』が『増えてく気がしてる』とあります。『増えてく』『かけがえのないうた』のひとつが、一節目にある『木漏れ日の下くちずさむ 覚えたてのメロディ』なのでしょう。そのとなりには『寄り添うようにあなたの声』があります。”教える”とか”指し示す”ではなく『寄り添うように』となっているところが『あなた』と『』の関係を示唆しているようです。

 

第三節に続きましょう。

 

 風に吹かれて輝くページ

 どんな景色を描いてゆこう

 ひかりなかでふくらむ蕾

 空を見上げていた

 

日記帳が風に吹かれてぱらぱらと捲れる様子が目に浮かびます。『風に吹かれて輝くページ』には、『どんな景色を描いてゆこう』とあるように、まだ何も描かれていません。白紙のそれは未来を夢見るように『木漏れ日の』『ひかりのなかでふくらむ蕾』です。

ここで注目したい個所は『空を見上げていた←過去形なんです。『どんな景色を描いてゆこう』(ゆこう=行くの未然形+う)と未来を目指しているのに、なぜか『空を見上げていた』と過去形につながるのか、そこに『新しい季節の出会いは なぜだか懐かしくて』を読み解くヒントがあります。

 

第四節に続きましょう。

 

 陽射しと遊ぶ水飛沫

 ベンチまであとすこし

 あてどもなく話そう

 僕とあなたのこと

 

陽射しと遊ぶ水飛沫は公園の噴水を表しているのでしょう。写実的な描写が美しい一節ですね。同時に『』と『あなた』が一緒にいることが分かる箇所でもあります。(『Primary』以降の曲を読み解くうえで重要なポイントです)

 

第五節に続きます。

 

 好きな言葉で埋めてくページ

 それは予想もできない色で

 肩を並べてほころぶ蕾

 明日を夢見ていた

 

肩を並べて』『あてどもなく』語り合うふたりは、お互いの『好きな言葉』をノートにつづります。描かれるのは『予想もできない色』の『明日』です。そうして『陽射し』の下『ふくらむ蕾』は『ほころぶ蕾』へと変わります。

そしてふたたび『明日を夢見ていた←過去形です。ひとつまえの第四節では、ふたりが一緒にベンチまで歩いていく様子が描写されていたのに、ここで過去形が使われるのは意味があるはずです。

 

第六節に進みます。

 

 風に吹かれて輝くページ

 めくれていつか忘れないように

 栞代わりにはじまりのうた

 ずっとくちずさもう

 

めちゃめちゃ好きなパートです。第六節にはこの曲の要素がぎゅっと凝縮されています。少しだけややこしいので解説は後回しにしましょう。

先にふれておきたいのはこのフレーズです。『栞代わりにはじまりのうた』って最高に詩的な表現でしびれます。風にめくれる日記帳のなかにふと懐かしいページを見つける。それは輝かしい思い出で、自分たちの始まりが描かれている。そんな受け取り方もできるかもしれません。(複数の意味が重なった第六節なので、読者のみなさんもぜひいろいろな角度からそれぞれの解釈を楽しんでほしいです)

 

第七節に続きます。

 

 優しく揺れる僕らの日々に

 どんな景色を描いてゆこう

 ひかりの中で色づく蕾

 空を見上げていた

 ひかり浴びて 空を見上げていた

 

↓注目ポイント↓

どんな景色を描いてゆこう』←未然形+”う”

空を見上げていた』←過去形

 

さて、全体を通してひとつずつ確かめながら進めていきます。

第三節と第五節にて『』と『あなた』は『風に吹かれて輝くページ』を『好きな言葉で埋め』て『明日を夢見て』います。第七節では『僕らの日々に どんな景色を描いてゆこう』とあるため『ページ』とは『日々』の比喩であることがわかります。

第六節ではそのページを『めくれていつか忘れないように』『栞代わりにはじまりのうた ずっと口ずさもう』と続きます。『ずっと口ずさもう』は未然形+意志を示す助動詞”う”なので、これから先のことを指しています。つまり第六節では”今現在”が描写されています。

書いている最中のノートに栞を挟むのは少し不自然です。普通は読み返している最中に『忘れないように』はさむのが栞ですね。このことから、この楽曲には過去と現在が混在していることが読み取れます。

読み返してみれば第七節も過去形と未然形が入り混じっています。同じ構造は第三節および第五節でも見られました。これは、それらの節が過去でもあり現在でもあることを意味しています。

反対に現在形もしくは未然形のみで構成されているのは第一節、二節、四節、六節です。それらの節は現在を描写しています。

 

さて、ここでようやく冒頭で触れた『新しい季節の出会い』が『なぜだか懐かし』い理由についてヒントが見えてきました。

未然形と過去形が混在する第三節、五節、七節で描かれているのは、これから始まろうとする未来をどう描いていこうか期待に胸を膨らませる現在の僕らの様子、そして同時にかつて期待に胸を膨らませていた過去の僕らの日々です。

つまり『新しい季節の出会い』が『なぜだか懐かしい』のは、かつての僕らを思い起こすからなんですね。楽曲のモチーフとして使われているクロッカスの花言葉は『青春の喜び』です。新しい季節との出会いは、きっといつだって胸の蕾をほころばせる春の日々なのでしょう。

 

この楽曲のタイトル『Primary』にはたくさんの意味があります。

【Primary】本質的なもの はじまりの

リエラのうたは全曲を並べるとひとつの物語が見えてくる。

Primary』はその始まりであり本質でもある重要な楽曲だということを示しているようです。

 

長くなりましたが、これでようやく一曲目です。次の曲に進みましょう。

 

 

二曲目『Memories』 

エーデルワイスの花がモチーフとして使われています。花言葉は「大切な思い出」「勇気」タイトルの和訳は「思い出」です。花言葉とタイトルからわかるように、この楽曲は過去に向けて歌われています。

 

歌詞を順番に紐解いていきましょう。第一節~三節はこうです。

 

 うれしいときはいつも

 手をつないで気持ち分けあう

 知らない間に生まれた

 僕たちのルール

 

 つらいときには手を

 見つめていると元気になれる

 風に揺れてた蕾も

 凛と綺麗に咲いた

 

 ひとつの喜びが

 大きなちからをくれるよ

 ありがとう 心から

 大切なMemories

 

僕たちのルール』ということでこの詩を詠む主人格は『』です。以降の曲も『』の語りによって紡がれています。そして『風に揺れてた蕾も 凛と綺麗に咲いた』のフレーズからはひとつ前の楽曲『Primary』で描かれていた『ひかりの中で色づく蕾』から連続していることが分かります。

三節目の最後に『ありがとう 心から 大切なMemories』とあるように、この歌詞は過去に向けて歌われています。”うれしいときに手をつないだ思い出”があるから”つらいときでも手を見つめれば元気になれる”そんな大切な思い出の歌です。

 

先に進みます。第四節~六節はこうです。

 

 かなしいときは肩を

 寄せあいただ一緒にいたね

 いつも通りの時間が

 とまどいをほどく

 

 楽しいときの笑顔

 胸の奥にしまっておけば

 雨にうたれても花は

 虹を信じて咲くよ

 

 ひとつの微笑みが

 大きな勇気にかわるね

 ありがとう 心から

 大切なMemories

 

注目したいのは第五節にある『楽しいときの笑顔 胸の奥にしまっておけば』です。なぜ笑顔の思い出が胸の奥にしまわれているのか、それは『』と『あなた』が離れ離れになっていることを示唆しています。いつでも会えるなら笑顔を胸にしまっておこうとはなりません。『Primary』では一緒にいたふたりが『Memories』では別々になっている、それがこの曲を理解するポイントです。ふたりの別れを意識して聴くと『ひとつの微笑みが 大きな勇気にかわるね』の健気さが胸にしみます。

 

第七節から九節はこうです。

 

 夢みる想いがいつか

 枯れそうになっても

 ほら過ぎた日々が希望そそぐ

 

 ひとつの思い出を

 集めた花束はきっと

 きらきらいつまでも輝くよ

 

 ひとつの喜びが

 大きなちからをくれるよ

 ありがとう 心から

 大切な Memories

 

あなた』と分かち合った思い出ひとつひとつを集めた花束が希望となって大きな力をくれる。いまは一緒にいなくても、大切な思い出は胸のなかで『きらきらいつまでも輝く』のです。

 

ところで蛇足かもしれませんが、ひとつ気が付いたことがあるのでメモしておきます。歌詞の第五節にある『楽しいときの笑顔』です。『とき』がひらがなになっていますね。これは言葉の使い方として正しくて、もし漢字で表記した場合『時』は『Time(時間)』を意味します。そしてひらがなの『とき』は『Situation(状態、状況)』を意味するんですね。わりと混合されて使われがちな『時』と『とき』ですが作詞のなかでは正しく言葉の使い分けがなされています。そこには『リエラのうた』の文学性が現れているように思えます。

では次の曲に進みましょう。

 

 

三曲目『Anniversary』 

ハマユウの花がモチーフとして使われています。花言葉は「どこか遠くへ」「汚れのない」「あなたを信じます」タイトルは「記念日」という意味です。

 

第一節から三節はこうです。

 

 もうどれくらいの時が経つの

 あなたと出会って

 消えては浮かぶ想い語れば

 花さえ微笑んだ

 

 気の利いた言葉

 見つからないけれど

 

 さよならではないよ はじまりさ

 大切な記念日

 今日の日まで頑張った自分

 信じ続けて

 遠く 手を振るよ

 

第一節では『あなたと出会って』『もうどれくらいの時が経つの』だろうと日々を振り返っています。では第三節にある『記念日』とは出会った日のことを指しているのでしょうか。その答えは第四節から六節にあります。なんの記念日なのか理解することで『さよならではないよ はじまりさ』『今日の日まで頑張った自分 信じ続けて 遠く 手を振るよ』の詩に深みが増すので、考察を続けましょう。

 

第四節から六節はこうです。

 

 雨に追われて身を寄せ合う

 いつかの木陰で

 ためらいがちに告げてくれた

 あなたの願い事

 

 眩しくていまも

 強く背中を押す

 

 僕も行くよ 夢を追いかけて

 ひそやかな記念日

 どこかでまた巡り合えるまで

 歩んでゆく

 

第五節にある『木陰』は『Primary』の冒頭にある『木漏れ日の下』を彷彿とさせるワードです。その木陰はふたりにとってきっと大切な場所なのでしょう。この曲では『雨に追われて身を寄せ合う いつかの木陰で』とあるため、なにかの出来事があって、ふたりだけの大切な場所で慰めあっていた遠い日を暗喩していると受け取ることもできます。ですが、ちょっと想像力を働かせて歌詞にこめられた情感の豊かさを味わってみましょう。

木陰で』『雨に追われて身を寄せ合う』姿をちょっと写実的に想像してみてください。思い浮かべるのは、たとえば中学生のころ、夕立の降る夏の帰り道としましょう。駆け込んだ木陰から見上げる空は暗くて雨脚は強く、夏服はびしょぬれでシャツはちょっと素肌を透かしています。『あなた』の髪から落ちる雫がちょっと艶っぽいかもしれませんね。(ちなみに筆者としては『』と『あなた』の性別は男女で固定しない解釈を推します。親友同士かもしれないし、恋人同士かもしれない、言葉では定義できない親密な関係としておきましょう)頭上を枝葉に守られて、どしゃぶり雨の爆ぜる音は少し遠く、ふたりは小さな静寂のなかにいます。雨はまだ止みそうにありません。濡れた身体には夕風がちょっと冷たくて、どちらからともなく身を寄せ合います。そんなとき、ふと『あなた』は『ためらいがちに』『願い事』を語るのです。

願い事』とはどんなものでしょうか。第六節で『僕も行くよ 夢を追いかけて』とあるため、『あなたの願い事』も将来の夢の話です。しかも『ためらいがちに告げて』いることから、ただの夢ではないことがわかります。文脈から察するに『あなたの願い事』を叶えるためには、ここから旅立たなくてはいけない類のものなのでしょう。つまりそれは、ふたりの別れの話でもあるわけです。

いま『』はそれをこのように振り返ります。『あなたの願い事』が『眩しくていまも 強く背中を押す』『ひそやかな記念日』『さよならではないよ はじまりさ 大切な記念日』。だから『ぼくも行くよ 夢を追いかけて』。なんだか記事を書いていて胸が熱くなっちゃいました。

ということで『記念日』とは第四節で描かれる『雨に追われて身を寄せ合う いつか』の日を指していました。

 

第七から八節はこうです。

 

 僕たちは希望咲かせて

 やがて種へとかわる

 新しい場所を目指すため

 

 さよならではないよ はじまりさ

 大切な記念日

 今日の日まで頑張った自分

 信じ続けて

 遠く 旅立つよ

 

Primary』ではだったものが『Memories』でとなり『Anniversary』で花はやがてへと変わります。『』と『あなた』は『希望咲かせて』『新しい場所を目指すため』『遠く 旅立』ちます。

ひとつ前の曲『Memories』はすでにふたりが別々の道に旅立ったあとの歌、そして『Anniversary』はそれから何度目かの記念日を迎えて振り返る歌という流れで物語は続きます。ということで、次の曲に進みましょう。

 

 

四曲目『Message』 

レニウムの花がモチーフとして使われています。花言葉は「」「上機嫌

タイトルはそのまま「メッセージ」もしくはかなりの意訳になりますが「伝えたい想い」と訳してみましょう。

ところでこの曲、一人称が登場しません。これは詞の語り手が『』でもあり『あなた』でもあることを……意味してるかもしれないし、していないかもしれません。どちらも可能性はあるので好きなように読んでください。便宜上『』が語り手であると想定して考察を進めましょう。

 

第一節から三節はこうです。

 

 歩き出した朝の景色

 ずっと忘れないでいて

 不安よりも高鳴り響く

 街のコントラスト

 

 橋を渡りあすを目指そう

 青く澄んだあの空が

 かなしい色に映るとき

 つぶやくのさ

 

 涙こぼれても 夢の種 芽を出すよ

 なにもこわくない 行くのさ いま

 

歩き出した朝の景色』は澄んだ朝日に照らされて、光と影のコントラストが鮮やかに街を飾ります。心を躍らせながら橋を渡れば視界がひろがり大きな青空が……けれどふと寂しさが胸を過ります。だけど『不安よりも高鳴り響く』『歩き出した朝の景色』『ずっと忘れないで』『あの空が かなしい色に映るとき つぶやくのさ』『涙こぼれても 夢の種 芽を出すよ

ここでも『Primary』から続く花の移り変わりが描かれています。最初はだったものが『Memories』でとなり『Anniversary』で花はやがてへと変わり、『Message』にて新しい芽を出します。

 

続きの歌詞を見ていきましょう。第四節と五節はこうです。

 

 嬉しかった夜の景色

 ずっと忘れないでいて

 花のように咲く街あかり

 木々は風に歌う

 

 険しい坂ものぼってゆこう

 やさしい星の瞬きが

 ある日雲に覆われて

 さびしくても

 

歩き出した朝から時はすぎ、橋を渡ってたどり着いた街は夜を迎えます。想像しやすいように、ちょっとチープなたとえですが「夢を追いかけて東京にやってきた初めての夜」というシチュエーションはどうでしょうか。(んー、ちょっと発想が貧弱ですね)春の夜です。街の明かりはきらめいて、夜風はかすかに花の香りをはらんでいます。そんな『嬉しかった夜の景色』を『ずっと忘れないでいて』と歌っています。これは歌い手が自分自身に語り掛けている言葉なのか、それとも『あなた』に宛てた言葉なのか、解釈はふたとおりあります。正解はないので好きなほうを、もしくは両方とも選んでくださいね。

旅立つ道行はいつだって楽しいことばかりではありません。『険しい坂も』『やさしい星の瞬きが ある日雲に覆われ』ることもあります。だけど……次の歌詞に進みましょう。

 

第六節から八節はこうです。

 

 涙あがったら 夢の虹 架かるのさ

 なにもこわくない 願うよ いま

 

 遠く離れても 同じ空 見上げてる

 

 涙こぼすから 夢の種 芽を出すよ

 なにもこわくない 誓うよ いま

 かならず叶える

 

 

 

五曲目『Ringing!』 

 

カランコエの花がモチーフとして使われています。花言葉は「幸福を告げる」「たくさんの小さな思い出」タイトルは「鳴り響く!」と訳すのはどうでしょう。

ちなみにこの楽曲では一人称が『』なので、語り手も『』ですね。

ではさっそく、第一節から四節まで読んでみましょう。

 

 やりたいのにできないこと

 多くてため息をついたり

 かっこつけて背伸びをしたあと

 転んで悔んだり

 

 そんな風にしていそがしく

 時計の針は回るけれど

 

 なにかひとつ気づくたび

 小さな鐘がリン!と鳴る

 嬉しくて楽しくて

 涙の跡も誇らしい

 

 あの花より可憐な鐘

 一面に咲かせて鳴らせ!

 

率直な歌詞なのであまり解説する箇所もないのですが、二か所だけ取り上げてみます。

なにかひとつ気づくたび 小さな鐘がリン!となる』このフレーズをわかりやすくたとえてみましょう。ここでは『』を高校生の吹奏楽だとします。(社会人一年生でもいいです)楽器の演奏を何度も練習してきたのに『できないこと 多くてため息をついたり』『転んで悔んだり』そんな繰り返しの中であるときふと、『小さな鐘がリン!と鳴る』ように、自分が成長していることに気が付きます。『うれしくて楽しくて 涙の跡も誇らしい』とは、そういった様々な困難を超えたさきにある感情を表しています。

つぎに『あの花より可憐な鐘』のフレーズです。『あの花』とは、どの花のことでしょう。可能性のひとつは『あなた』が咲かせている花、もうひとつは不特定の誰かが咲かせる花です。この場合の花という単語には様々な意味が包含されているため説明するのが難しいのですが、また先ほどの吹奏楽部のたとえで読み解いてみましょう。たとえば素敵な演奏をする部活仲間憧れの先輩、演奏はうまくなくても人柄の良さが魅力的な友達、それぞれがそれぞれの花を咲かせています。『あの花』とは、それらを指しているのだと考えていいでしょう。そこには遠く離れて夢を追いかける『あなた』が咲かせている花も含まれるかもしれません。

 

続いて第五節から七節はこうです。

 

 僕は僕で、人は人さ

 マイペースに頑張ればいい

 頭では分かっててもやっぱ

 誰かとくれべちゃう

 

 なんとなく広がるモヤモヤ

 まだ今日も持て余してても

 

 ちょっとずつさ、進むたび

 小さな鐘がリン!と鳴る

 まよっても悩んでも

 明るい未来 夢みよう

 

ここで気になるのは『僕は僕で、人は人さ』『ちょっとずつさ、進むたび』の箇所です。歌詞としては珍しく読点「」が使われています。あえて使うからには、なにか理由があるはずです。読点は文の区切りに打つものですが、歌詞の場合はスペースを開けることで区切るのが一般的で……なんで読点を打ったんだろう。うーん。わからん。

ということで、これについては作詞家の宮嶋淳子さんに聞いてみましょう。宮嶋さん、これを読んでらしたらヒントください。

 

では八節から十節に続きます。

 

 胸はずませるしあわせって

 どんな場所にだってひそんでる

 探して触れてワッと笑うたび

 リン!と何度でも心の鐘が鳴る

 

 ほらね、ひとつ気づくたび

 小さな鐘がリン!と鳴る

 うれしくて楽しくて

 涙の跡も誇らしい

 まだやれるさ

 

 あの花より可憐な鐘

 僕らしく咲かせて鳴らせ!

 

Primary』ではMemories』ではAnniversary』にて花が結実しへと変わり、『Message』にてを出して『Ringing!』ではを咲かせました。

ちなみにこの楽曲のモチーフとして用いられているカランコエは花の形が釣鐘状に咲くため、タイトルの『Ringing!』や『小さな鐘がリン!と鳴る』に通じるものがあります。あ、いまわかりました。『あの花より可憐な鐘』の『あの花』ってカランコエのことでした。

というわけで次の曲に進みましょう。

 

 

六曲目『Dears』 

セントポーリアの花がモチーフとして使われています。花言葉は「小さな愛」「親しみ深い」タイトルは「親愛なる」を意味しており、一例としては手紙の宛名で「Dear かのんちゃん」みたいな使われ方をします。この楽曲も『あなた』に宛てた手紙なのかもしれませんね。

ではさっそく歌詞を読んでみましょう。

 

第一節と二節はこうです。

 

 どんなことにでも小さなしあわせ

 いまは感じてるよ

 うまくいかなくて落ち込む日があっても

 いつでも前をみてる

 

 すぐそばで微笑みをくれる人

 みんなにね、喜びを届けたい

 この胸にやさしさが咲いたのは

 そう あなたとつながっているから

 

この歌詞の語り手は『』です。『うまくいかなくて落ち込む日があっても』『どんなことにでも小さなしあわせ いまでは感じているよ』の歌詞から分かるとおり『Memories』『Anniversary』『Message』『Ringing!』『Dears』と曲を追うごとにだんだん気持ちが成熟していくのが読み取れます。これまでずっと自分の中の花をどうやって咲かせるか、悩んだり人と比べて落ち込んでいた『』が、この歌詞では『みんなにね、喜びを届けたい』と他者に与えることを考えることができるようになりました。

ところで、二節で登場する『すぐそばで微笑みをくれる人』とは誰のことでしょう。歌詞にはそれ以上のことが書かれていないため解釈は読み手に委ねられているのですが、いくつか候補はあげられます。①家族、②パートナー、③仲間、④友達あたりでしょうか。このうち②のパートナーが『微笑みをくれる人』だという説が筆者の推しです。逆説的に『あなた』はパートナーでないことになりますが理由は最後の曲『Departure』にてお話させてください。

 

続いて第三節、四節を引用します。

 

 僕の両手では抱えきれない

 気持ちたくさんあるけれど

 どうしようもなくて泣きそうな日はそっと

 誰かがつつんでくれる

 

 もしそばで迷う人がいるなら

 あたたかなぬくもりをあげたいよ

 この胸にやさしさが咲いた日は

 そう あなたの声が聴こえる

 

この歌詞からも『』の成長が見えます。『両手では抱えきれない 気持ちたくさんある』ときでも、不安や涙に視界を曇らせることはありません。『もしそばで迷う人がいるなら あたたかなぬくもりをあげたいよ』と『僕が』他者に『思いやり』の花を分け合うのと同じように、また『そっと』『つつんでくれる』他者もいることを信じられるようになりました。そんな『やさしさが咲いた』のは、あの木陰で語り合った『あなた』との日々があったからです。遠く離れていても『あなたとつながっている』という言葉にはそんな思いが込められていそうです。

 

五節から七節を引用します。

 

 気がついたんだ みんな みんなやさしい

 思いやりの中 愛が咲く

 

 すぐそばで微笑みをくれる人

 ありがとう 喜びを届けるよ

 この胸に咲いている花たちを

 そう あなたに見せにゆくから

 

 僕を待ってて

 

』と『あなた』の再会が示唆されて歌詞は締めくくられます。いよいよ次が最後の曲です。

 

 

七曲目『Departure』 

ペンタスの花がモチーフとして使われています。花言葉は「希望が叶う」「願い事

タイトルは「旅立ち」を意味します。

 

第一節、第二節はこうです。

 

 あなたと思い出をたどるよ

 たくさん泣いたし笑ったね

 色んなことをこえて 気持ち

 いまひとつにつながる

 

 見上げてみて

 あの星たちも瞬く

 呼び合うように

 

』と『あなた』がついに再会します。地上から見上げたとき、星々は星座のように結びついているように見えます。でも本当はそれぞれ何光年もの距離を隔てて、遠く呼び合うように瞬きます。まるで別々の道を歩んでも胸の中でつながりあっていた『』と『あなた』のように。

 

三節から五節はこうです。

 

 ずっと胸に描いていた

 夢が 夢が 花ひらいたよ

 このきらめき詰めこんで

 新たな旅に出よう

 

 自分信じられない日も

 あなたを信じて走ったよ

 止まって進んでくりかえし

 強くなれた気がする

 

 ねえこれから

 どんな未来が僕らを

 待っているんだろう

 

夢が 夢が 花ひらいたよ』のフレーズに二度繰り返される『夢が』は、ひとつではなく複数の『夢が 花ひらいた』ことを意味しているのでしょうか。さらには『』の夢と『あなた』の夢が『花ひらいた』ことも意味していそうです。

そしてふたりは『新たな旅に』出ます。ふたりの前には『どんな未来が待って』いるのでしょう。

 

第六節から八節はこうです。

 

 もっと遠く行けるはずさ

 夢が 夢が また芽吹いたよ

 もうこの手を離さない

 一緒に旅に出よう

 

 あすが見えなくても

 出かけるのさ

 希望が道を 照らすから さあ

 

 物語は続いてゆく

 

もうこの手を離さない 一緒に旅に出よう』これから先のふたりは、もう離れ離れではありません。『物語は続いて』ゆきます。

 

九節と十節はこうです。

 

 叶えたくて抱きしめてる

 夢を 夢を 咲かせにいこう

 このきらめき詰めこんで

 新たな旅に出よう

 叶える旅に出よう

 

 僕らはいくよ 咲かせにいくよ

 僕らはいくよ 咲かせにいくよ

 

ここでも『夢を』と『僕らはいくよ 咲かせにいくよ』が二度繰り返されています。まるで『』と『あなた』双方の歌声が重なり合って響いてるようですね。

さて『Dears』にて筆者は『』と『あなた』の関係はパートナーではないと考えていることを話しましたが、その理由は『Departure』の歌詞が恋愛感情を歌ったものではないことにあります。『』と『あなた』は一貫して『』を追いかけることで繋がりあっています。もちろん恋愛関係を透かし見ることも可能ではありますが、共に夢を叶える旅へと旅立つ仲間と読んだほうがよりロマンチックかな、と思うのです。

 

作詞家の宮嶋淳子さんは『全曲を並べるとひとつの物語が見えてきます』とおっしゃっていました。『リエラのうた』七曲すべてを考察し終えたわけですが、全曲を並べることで見えてくる仕掛けに気がついたでしょうか。解説していきます。

 

七曲目『Departure』の第六節には『夢が 夢が また芽吹いたよ』続いて九節では『夢を 咲かせにいこう』と書かれています。

これまで『Primary』ではMemories』では、そして『Anniversary』にて花が結実しへと変わり『Message』にてを出して『Ringing!』では再びを咲かせ『Dears』では花を他者に分け与えます。そして『Departure』にて新しい夢が芽吹き、となって花ひらくのを待ちます。

こうして花の変化を追うと『Departure』のあとにもう一曲続いているのに気がつきませんか?

 

 

まとめ

最後の曲は『Primary』です。

まずモチーフとなっている花はクロッカス花言葉は「青春の喜び」。そしてタイトルは「はじまりの」もしくは「本質的なもの」を意味しています。

 

もういちど歌詞を追いかけてみましょう。第一節から三節はこうです。『Departure』にて再会したふたりの歌だと思って読んでみてください。

 

 木漏れ日の下くちずさむ

 覚えたてのメロディ

 とぎれるたびにそっと

 寄り添うようにあなたの声

 

 新しい季節の出会いは

 なぜだか懐かしくて

 増えてく気がしてる

 かけがえのないうた

 

 風に吹かれて輝くページ

 どんな景色を描いてゆこう

 ひかりの中でふくらむ蕾

 空をみあげていた 

 

新しい季節の出会い』がなぜ『懐かしい』のか考察したのを覚えているでしょうか。歌詞の第三節にて『どんな景色を描いてゆこう』(未然形)『空をみあげていた』(過去形)と顕著に示されているように『Primary』の歌詞では過去と現在が混在しています。

Anniversary』にて木陰から始まった夢

Message』にてこぼれた涙から芽を出した夢

Ringing!』にて咲きほこらせた夢の数々

そして『Departure』にてまた芽吹いた新しい夢

リエラのうた』を通して『』はいくつもの夢と出会い、花を咲かせてきました。

 

Primary』は夢をはじめる『僕』と『あなた』の最初のうたであるとともに、『新しい季節との出会い』をいくつも重ねた現在の『僕』と『あなた』のうたでもあります。『なぜだか懐かしい』気持ちになるのは、何度も繰り返してきたからなんですね。

 

風に吹かれて輝くページ』の意味合いもまた変わってきます。ひとつは

【『Departure』にて新しい夢を見つけ、これから新しい景色を描いてゆくページ】

そしてもうひとつが

【風に吹かれて捲れた日記帳のように、ふと浮かび上がった輝かしい思い出のページ】

ひかりの中でふくらみ空を見上げる蕾は、現在の自分たち、そして過去の自分たちを比喩しているからこそ、未然形と過去形が入り混じっていたわけです。

 

続きの歌詞、第四節はこうです。

 

 陽射しと遊ぶ水飛沫

 ベンチまであとすこし

 あとどもなく話そう

 僕とあなたのこと

 

第四節は『Departure』で再会した『』と『あなた』が、これまでの旅を語り合っている様子を表しているのでしょうか。そして次の歌詞に続きます。

 

第五節を引用します。

 

 好きな言葉で埋めてくページ

 それは予想もできない色で

 肩を並べてほころぶ蕾

 明日を夢見ていた

 

新しい夢へと旅立つふたりの背中に、幼かったころの『明日を夢見ていた』ふたりが重なります。

 

第六節と七節はこうです。

 

 風に吹かれて輝くページ

 めくれていつか忘れないように

 栞代わりにはじまりのうた

 ずっとくちずさもう

 

 優しく揺れる僕らの日々に

 どんな景色を描いてゆこう

 ひかりの中で色づく蕾

 空を見上げていた

 ひかり浴びて 空を見上げていた

 

はじまりのうた』それは、幼かったあの日のうた、そして新しく旅立つ僕らのうたです。

 

あとがき

以上で『リエラのうた』の考察を終えます。

全曲通して聞くと短編小説を読み終えたような気持ちになれる詩的なアルバムでした。

 

※注釈※Departure』に続く曲として『Primary』をあげましたが、『リエラのうた』はループ構造にはなっていません。『Departure』と『Primary』は多少ねじれていますが同じ時間軸、そこから先は未知の旅路です。

 

ちなみに本考察記事は全体で約14,000文字!すごいね!めっちゃがんばった!

ついでにこれは完全に妄想なんですけど『瞬きの先へ』って曲あるじゃないですか。『常夏サンシャイン/WishSong』に収録されてるあれって曲調が『リエラのうた』に似てません? っていうか『Departure』の続きっぽくありません? 細かく歌詞を読んでみると続きじゃないのがわかるんですけど、脳内補完して勝手に連作だってことにしてます。というのも、『Liella! First LoveLive! Tour ~Starlines~』のセトリでは『リエラのうた』からシームレスに『瞬きの先へ』と続くんですよ。あの流れが美しすぎて、完成されすぎてて、もうこれはちょっとの矛盾は無視してでも連作ってことにしたくもなるってやつです。ライブ見た人はきっとわかってくれるよね!?

 

そして最後に大切なことをひとつ。

広辞苑の第七一四版によると『考察』という言葉には『妄想』という意味が含まれるそうです。すべての答えは作者しか知らないので当然のことですね!

 

ってことで『リエラのうた』の考察はいかがでしたかー? とっても頑張ったのでTwitterのほうでRTとか、ブログのほうにコメントとかいただけると励みになりまーす!

 

 

QU4RTZ『Not Sad』歌詞考察

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番外編QU4RTZ歌詞考察『Not Sad

作詞:柿沼雅美 作曲:須田悦弘・栗田健

番外編の今回はQU4RTZ 2nd Single『Swinging』収録の『Not Sad』について語っていこうと思います。 

 

基本的にはLiella!の楽曲のみを考察する当ブログですが、今回は番外編ということで「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」所属のユニットQU4RTZから『Not Sad』を取り上げたいと思います。この曲、音も歌詞も歌唱も最高なんですよ。ユニット曲ということでちょっと埋もれがちですが、もし読者の方でまだ聞いたことがないよーという人がいましたら、これをきっかけにぜひぜひ楽曲を好きになってもらいたいなと思います。

ではさっそく始めていきましょう!

 

まず最初に共有しておきたい点として、この歌詞は主人公の一人語りで進行していきます。「わたしたちは」「君と」等のワードから登場人物が二人いるようにみえますが、実際は「」は目の前におらず主人公は一人きりでこの歌を詠んでいます。根拠についてはもう少し先で触れますね。

 

 同じ気持ちでいられるって

 わたしたちは信じてられるよ

 だからこの手を離して

 未来に伸ばして 夢を掴もうよ Bye Bye

 舞い散る花 浮かぶ涙

 そしてまた咲き誇る笑って

 いつだって いつだって

 君はこんなに大事な存在だから

 

たとえ別れたとしても「わたしたちは」「同じ気持ちでいられるって」「信じてられるよ」「また咲き誇る笑って」と、「大事な存在」な「」との別れを肯定的に受け止める歌詞からこの楽曲は始まります。

 

続きを読んでいきましょう。

 

 So long So long 心が強がっちゃって転んでた

 So long So long 君だけ目に映した

 

So longは「サヨナラ」を意味しています。序文で「同じ気持ちでいられる」「また咲き誇る笑って」「だからこの手を離して 未来に伸ばして 夢を掴もうよ」と歌っていた主人公ですが、しかし本当は「心が強がっちゃって転んで」いました。悲しい気持ち、手を離してしまいたくない寂しさでいっぱいの心に映っているのは「君だけ」です。

 

 

 ねぇそうだよ それでも そうだよ それでも

 一緒だからいつでも

 走ってた 走ってた きらめき

 

 運命があの時 引き寄せた

 想い出が明日を奏でる

 繋がっているから 必ずまた会える

 だって特別なんだよ

 

心が強がっちゃって転んでた」だけど、だからこそ「一緒だからいつでも 走ってた きらめき」を思い浮かべます。「運命があの時」ふたりを「引き寄せた」「想い出」が今の自分を作っている。そして「明日を奏でる」んだ。心は「繋がっているから 必ずまた会える」「だって特別なんだよ」そう自分に語り聞かせるのです。

解説なんていらないくらい完璧な詞ですね。

 

 

 サヨナラ それは答えじゃない

 新しくはじまる道だよ

 君と出会えたから 今があるんだ

 ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかないよ

 いまはサヨナラ 幸せの言葉

 君に 君に 君に また出会う日は

 どんな表情だろう もっと楽しいね

 だから Not Sad Not Sad 次に見える景色に

 離さないよ ときめく瞬間

 

あの日の「想い出が明日を奏でる」それはつまり「サヨナラ」が「幸せの言葉」に変わることを意味します。なぜなら「君と出会えたから 今があるんだ」つまりこの「サヨナラ」と胸の痛みは「君と出会えた」証明でもあるわけです。一緒に「走ってた きらめき」は確かにいまでも輝いています。その輝きを悲しみにしてしまうか、それとも「希望」にするかは自分次第。「ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかない」という言葉には決意と強い願いが現れているようです。「想い出」は「明日を奏で」ます。「君に また出会う日は どんな表情だろう もっと楽しいね」「だから Not Sad」悲しくなんてありません。「次に見える景色に」進むんだ、君と出会えたから」ある「いま」を大切に離さないよ ときめく瞬間」と歌詞は続きます。

ラブライブ!の楽曲ではしばしば「いま」というワードが登場します。「ぼくらはいまの中で輝きを待ってた」(『僕らは今のなかで』)「いまを重ね そして未来へ」(『WATER BLUE NEW WORLD』)といったように、「過去」から連なる「いま」この瞬間の輝きが「未来」へと繋がっている、そんなメッセージを『Not Sad』からも感じられます。

 

二番の歌詞に続きましょう。

 

 たまに誰かが眩しくって

 泣きそうにも弱気にもなるよ

 いつも隣で悩んで

 未来のゆくえを風に聞いてたね Bye Bye

 同じ鼓動 刻む時を

 巻き戻さなくていい 笑って

 いつだって いつだって

 前を向いたら何かが見えるんだから

 

たまに誰かが眩しくって」の部分が誰を意味しているのか歌詞では明言されていませんが「泣きそうにも弱気にもなるよ」ということからすると、友達同士で仲良く歩いている人たちを見かけたときかもしれませんね。それは続きにある「未来のゆくえを風に聞いてたね」から想像できる主人公と「」との関係からも想像できます。風が運んでくる未来の気配に耳を澄ましているというと、将来や進路を決めなくてはいけない学生時代を思い浮かべることができるでしょうか。「」とはそんなときいつも隣にいた友達を指しているように思えます。だから、仲良く歩いている人たちを見かけると思い出してしまうのでしょう。

それでも「いつだって 前を向いたら何かが見えるんだから」「時を 巻き戻さなくていい」そんな前向きなメッセージからは、胸のなかの痛みや悲しみと向き合ってひたむきに未来を信じようとする主人公の気持ちが伝わってくるようです。

 

 

 So good So good こんなに過ぎ去っちゃった毎日も

 So good So good 宝石だって言えるよ

 ねえそうだよ それだよ そうだよ それだよ

 一生モノの輝き

 つくってた つくってた 気付いた

 

解説の序文で『Not Sad』は主人公の一人語りとした根拠はこの箇所「こんなに過ぎ去っちゃった毎日も」にあります。主人公と「」が過ごした日々はすでに遠く、別れからいくつもの毎日を重ねています。「」はすでにこの場所にいないんですね。

」と出会った日から始まった毎日は、別れを越えてなお「宝石だって言える」なぜなら、その宝石が「一生モノの輝き」を放っていることに「気付いた」からです。

 

 

 運命を見つけて抱きしめた

 想い出をたくさんありがと

 振り切った涙で もうすぐ花が咲く

 ずっと特別なんだよ

 

出会いが「一生モノの輝き」だと「気付いて」、主人公は「運命を見つけ」ます。ここでいう運命とは、主人公と君とで作り上げた未来や希望未来のゆくえを風に聞いていたね、がここで効いてきます)と言い換えることができるかもしれません。希望が見えたから「振り切った涙で もうすぐ花が咲く」だって、別れたとしてもふたりの関係は「ずっと特別なんだよ

 

 

 サヨナラ 決して迷わないで

 大丈夫 信じた道だよ

 君を想うたびに 強くなるんだ

 だから Not Sad Not Sad 心のまま行けるよ

 Not Sad Not Sad 微笑み合おうよ

 大事なわたしの 大事な君との 大事な未来へ

 サヨナラずっと 忘れないよときめく瞬間

 

ふたりの道はもう交わることはないかもしれない、と主人公は自覚しているような歌詞です。「サヨナラ 決して迷わないで 大丈夫 信じた道だよ」とは、自分自身に言い聞かせる言葉なのでしょう。「君を想うたびに強くなるんだ」だから大丈夫「心のまま行けるよ」と読むのが自然に思えます。(「君」への餞別の言葉と取ることも出来ますが、歌詞は全体を通して弱気になってしまいそうな自分の心を励ましているのだと解釈しています)

大事なわたしの」(←わたしの大事な、と読み替えて良いと思います)「大事な君との 大事な未来へ」と続きますが「サヨナラずっと 忘れないよときめく瞬間」なので、やはり共にすごす未来ではなく、主人公と君のそれぞれの未来を示しているようです。そのうえで、それでも心は「繋がっているから」「必ずまた会える」と信じているから「君との未来」だと言えるわけです。

 

ラストサビに行きましょう。ここまでの考察を踏まえてみると、「ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかないよ」に込められた強がりや願いや祈り、悲しみを昇華させて共に過ごした日々を明日へと繋ごうとする気持ちが伝わってくるのではないでしょうか。

 

 特別なんだよ

 サヨナラ それは答えじゃない

 新しくはじまる道だよ

 君と出会えたから 今があるんだ

 ぜんぶ ぜんぶ 希望でしかないよ

 いまはサヨナラ 幸せの言葉

 君に 君に 君に また出会う日は

 どんな表情だろう もっと楽しいね

 だからNot Sad Not Sad 次に見える景色に

 離さないよ ときめく瞬間

 

 

歌詞の考察は以上となりますが、『Not Sad』の魅力は歌詞で描かれるストーリーだけに留まらず、音の気持ちよさや韻の踏み方の巧みさ、QU4RTZのメンバーそれぞれの歌声やユニゾンなどなど、あげればきりがありません。ぜひ楽曲の魅力をたくさんみつけていただければ、そして当ブログがその一助となればと願っております。

 

ということで『Not Sad』については以上です!

ここまで読んでくださりありがとうございました!!それでは、また次回お会いしましょう!

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(当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)

Liella!『GOING UP』歌詞考察

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第11回Liella!歌詞考察『GOING UP

作詞:宮嶋淳子 作曲:秋浦智裕

今回はテレビアニメラブライブスーパースター!!挿入歌シングル『未来予報ハレルヤ!/Tiny Stars【第1話盤】』収録の『GOING UP』について語っていこうと思います。

(『未来予報ハレルヤ!』についてはこちらの記事にて『Tiny Stars』についてはこちらの記事にて紹介しています) 

 

さわやかさと勢いを感じる雨上がりのような一曲です。歌詞も洗いたての青空が目に見えるようで気持ちがいいです。サビのメロディも印象に残りやすい名曲なのではないでしょうか。

さて、歌詞の考察を始めましょう。

 

 風船が雨にうたれてころがる

 どこへ向かうか 分からないままで

 だけど大空を夢見てるよ

 君の笑顔がきらめいてゆれるから

 

 何度でも いこう!って声が

 聞こえるよ そのたび希望ふくらんでゆく

 

そのままな歌詞なので考察不要ですが、それでは記事にならないので少し紐解いてみましょう。歌詞に出てくる「風船」=心や気持ちと言い換えることができるでしょう。「君の笑顔」に励まされて大空を夢見て、だけどいまは雨に降られてあてもなく転がる誰かの心です。この誰かを仮に人物Aとしておきましょう。対する「」を人物Bとします。

ところで『始まりは君の空』でも人物ABの構図で考察を行ったのを覚えておられるでしょうか。あちらのふたりと『GOING UP』のふたりを同一人物として読むとエモみが増しますのでその線でやっていきましょう。というのも、『始まりは~』と『GOING UP』はとても良く似ているんですね。

始まりは~』において人物A始まりは君の空 空に描くのはどんなどんな夢か教えて」と歌います。『GOING UP』にて「だけど大空を夢みてるよ 君の笑顔がきらめいてゆれるから」と歌う人物Aと何か似通ったものを感じます。どちらの歌詞でも「空」「夢」「君」とキーワードが被っています。「君の空」「に描くのはどんな」「夢か教えて」と人物Bに憧れる構造≒「君の笑顔がきらめいてゆれるから」「大空を夢見てる」と人物Bに憧れる構造だと言えるでしょう。

続いて『始まりは~』にて人物Bは「ほら一歩目を一緒に飛ぼうよ(中略)信じようよ自分のチカラを」と人物Aを誘います。やはり『GOING UP』の歌詞中で「何度でも いこう!」と誘う人物Bと似ているように思えます。やはり『始まりは~』と『GOING UP』はコンセプトが似通っているようではないでしょうか。

(実際は作詞があちらは畑亜貴さん、こちらは宮嶋淳子さんなのでこれら考察は事実に基づいた妄想の産物です)

 

サビに進みましょう。

 

 雨上がりの青 とびたつのさ

 ふわり鮮やかに浮かび上がれ さあ!

 迷っても目を閉じればいつも

 まぶたの裏には 君が見えた

 

鮮やかな青が目に浮かぶような歌詞です。「まぶたの裏に」見える「」に憧れる気持ちのまま心は雨上がりの空へと「とびた」ちます。

 

 はじめての空はドキドキで不安

 ぼんやりすれば  さらわれる強い風

 だめだ無理だよと思ったとき

 また響くのさ 平気だよ!できる!と

 

 もう一度 上昇するんだ

 軽やかな心でくるり回り

 

始まりは~』における「君の空」=「まぶたの裏に」見える「」に憧れた人物Aは「はじめての空」へ飛びたちます。それは簡単なことではなくて、翼のない風船ではちょっとの風でも容易くさらわれてしまって、「だめだ無理だ」と悟りそうになってしまいます。それは現実的で賢い悟りなのかもしれません。

だけど「また響くのさ 平気だよ!できる!と

だから「軽やかな心でくるり回り」「もう一度 上昇するんだ

 

 目の前ひろがる 果てしない青

 渡れ この両手ミライにのばし

 ずっと変わらない大事な気持ち

 最後の最後にささえるんだ

 大好きだよ!

 

とっても好きな歌詞です。まぶたの裏に沁みるほど鮮やかな「果てしない青」が容易に想像できます。空は希望や未来の象徴でもあります。頼りない風船だけど、空へ向かいたい強い気持ちを「最後の最後にささえ」てくれるのは「ずっと変わらない大事な気持ち」、それこそ君のことを「大好き」な憧れの気持ちです。

 

 しゅんとさ、しぼんだって

 君と一緒ならとべる

 もっとさ、いくんだって

 舞いあがれ たかく!

 

だからこそ「君と一緒ならとべる」「もっと」「舞いあがれ たかく!」と歌詞は続きます。

 

 雨上がりの青 とびたとうよ

 ふわり鮮やかに浮かび上がれ さあ!

 迷っても目を閉じればいつも

 まぶたの裏には 君が見えた

 願いを抱きしめ とんでいくよ

 

 ララララ 夢を ララララ みようよ

 ララララ 夢を ララララ みよう!

 

注目するのは「雨上がりの青」なところですね。ついさっきまで「雨にうたれて ころが」っていた心が「ふわり鮮やかに浮かび上がれ さあ!」と、空を目指します。力の源は「迷っても」「まぶたの裏には 君が見えた」「願いを抱きしめ とんでいくよ」ということで「」=人物Bです。「」の存在が力になっていること、けれど飛び立つのは「」がひっぱってくれたからではなく、「まぶたの裏」に「見えた」に憧れる人物A自身なのは重要です。憧れを叶えるのは自分自身なのです。


と、いうことで『GOING UP』については以上です!

ここまで読んでくださりありがとうございました!!それでは、また次回お会いしましょう!

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(当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)

Liella!『Tiny Stars』歌詞考察

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第10回Liella!歌詞考察『Tiny Stars

作詞:宮嶋淳子 作曲:秋浦智裕

今回はテレビアニメラブライブ!スーパースター!!挿入歌シングル『未来予報ハレルヤ!/Tiny Stars』収録の『Tiny Stars』について語っていこうと思います。

(『未来予報ハレルヤ!』(TVサイズ)についてはこちらの記事にて紹介しています) 

 

あの感動の第三話で披露された「クーカー」のデビュー曲、まさに名曲として誕生するべくして産まれた珠玉の逸品です。ちなみに珠玉という言葉には「小さくて美しい」という意味が含まれているので『Tiny Stars』に相応しい賛辞ですね(どやぁ)

 

では歌詞を紐解いていきましょう。

 

 駆け抜けるシューティングスター

 追いかけて星になる

 煌めけ! (小星星)

 

サビから入ります。「駆け抜けるシューティングスター」と、それを「追いかけて星になる(わたしたち)」の構図がこの曲全体を通して貫かれています。「煌めけ!」が決意表明みたいでかっこいいですよね!ちなみにですが、小星星とは中国語で「きらきら星」を意味するそうです。

 

 

 何も見えない夜空 ひとすじの流れ星

 キラキラまぶしい姿に 勇気をもらったよ

 

 いつかあんな風に なれる日がくるかもしれない

 希望が運んできたんだ 新しい季節のにおい

 

ここで出てくる「ひとすじの流れ星」は「何も見えない夜空」を駆けていることから、(当然ではありますが)実際の星ではなく象徴的な意味での「流れ星」だとわかります。たとえば、「何も見えない夜空」は俯きながら目を閉じて見える真っ暗な世界、なんて言い換えもできるかもしれません。そんな心象風景のなかで空を駆け抜けていく流れ星に出会ったら人生変わっちゃいそうですよね。それこそ「いつかあんな風に なれる日がくるかもしれない」と感じてしまうほどにです。

 

 そんな情動は次のパートにある「Hello My Dream」というフレーズにも現れています。

 

 Hello (Hello)My Dream

 ハジメテを始めよう(不安でも)

 行ける(平気) いつも(そうさ)

 絆がここにある

 

不安な胸を抱えたまま「いつかあんな風に」なりたいと願った希望に誘われて「ハジメテを始め」ます。決して強くはない小さな星たちが、不安でも「行ける(平気)」と自分を奮い立たせている歌詞です。

その強がりには根拠があります。「絆がここにある」から。テレビアニメ3話にてステージのうえで不安に呑まれそうだったかのん可可を彷彿とさせるようですね。作詞とアニメ脚本が丁寧にリンクされていて、この楽曲の本気度が伺えます。

 

 

 駆け抜けるシューティングスター

 追いかけて星になる

 止まらない 止まれないよ まだちいさくても

 

 ひとりじゃないから

 諦めないで進めるんだ

 立ち上がった数だけ光るTiny Stars

 煌めけ!

 

ところで「駆け抜けるシューティングスター」を「追いかけ」ているとしたら、追う星と追われる星で流れ星がふたつあることになりますね。きっといつか振り向いたときに自分たちも「駆け抜けるシューティングスター」だったことに気が付くのかもしれません。

だけどいまはまだ小さい星たちです。「立ち上がった数だけ光るTiny Stars」動き出すとき、めげないとき、「立ち上がった」とき、それは輝きます。「煌めけ!

 

 

 なにげない言葉が いつの間にか力に変わる

 だから全部ぶつけ合うの よろこびもかなしみも

 

 仲間と気持ちを共有する意味と取るのが素直ですがあえて「詩を紡ぐという行為≠表現すること」にフォーカスして歌詞を読みます。表現することってきっと喜びや悲しみ、何気ない言葉、ふとした表情、瞬間、それらが自分のなかに降り積もって生まれたキラキラした星の欠片の全てを「どうか届いて」(私のSymphonyより引用)と願いながら「ぶつけ」る行為なんだと思います。

 

 

 I Know(I know) the stars

 ひかりを知った目には(映ってるの)

 息を(切らし) 未来(つかむ)

 奇跡のものがたり

 

 「ひかりを知った」ら「息を切らし」「未来」掴むために走り出さずにはいられません。だってその目にはたとえ他の誰にも見えなくても「I know The Stars」「奇跡のものがたり」が映っているのですから。

 

 

 願いのせシューティングスター

 遠い空でまたたく

 届かない 届きたいよ もっとスピードあげて

 

 向かい風にまた

 心ごとさらわれそうでも

 ささやき合う そっと芽を出した想い 守ろう

 

 「願い」を乗せて輝く流れ星は遥かに「遠い空で」またたいています。「シューティングスター」は憧れの対象なのでしょうか、それとも希望の象徴なのでしょうか。「届かない」だけど「届きたい」から「スピードをあげて」先へと進みます。それでも速度があがるほどに挑戦するほどに「向かい風」は強くなります。進んでいるはずなのに、前よりも頑張っているはずなのに、突き進むからこそ「向かい風」は強くなるものです。いつか「心ごとさらわれそう」に感じることもあるはずです。だからこそ胸のなかに宿って小さな光を放つ「そっと芽を出した想い 守ろう」なんですね。

 

 

 信じてる(それだけじゃ)叶うわけないよ

 叶うまで(走るしかない)暗闇つきぬけて

 

強い決意を感じるパートですね。

 

 

 輝きのシューティングスター

 追いかけて星になる

 止まらない 止まれないよ まだ小さくても

 

1番の歌詞と2番の歌詞を経るとこのパートの意味合いが少し変わって見えませんか?「輝きのシューティングスター」を「追いかけて」「止まらない」「止まれない」「」ってつまり流れ星を追うもうひとつの新しい流れ星です。「信じてる」だけじゃ「叶うわけない」「届かない」だけど「届きたい」と願い、歌い、「スピードをあげて」きた新しい流れ星です。それはラストのサビの詩に現れています。

 

 

 いつまでも一緒に

 同じ夢見続けていたいから

 かたく手と手つないで行こう Tiny Stars

 煌めけ! 煌めけ!

 

タイトルにある「Tiny Stars」が、小さいけれど輝く星々がここにいます。「煌めけ!


ということで『Tiny Stars』については以上です!

最後に、今回は意図的に「駆け抜けるシューティングスター」が具体的に何を示すのかについて触れずに考察を進めました。アニメを踏まえるとそれは可可にとっての「サニパ」だったり、かのんにとっての「歌が好き」な気持ちや可可の存在なのかもしれません。だけど、それだけじゃないものが込められているように思いません? 具体的にしてしまったら零れてしまう何かがあるようで、今回はこのような扱いにしてみました。

 

以上!ここまで読んでくださりありがとうざいました!!それでは、また次回お会いしましょう!!!

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(当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)

Liella!『この街でいまキミと』歌詞考察

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第9回Liella!歌詞考察『この街でいまキミと

作詞:宮嶋淳子 作曲:家原正樹

今回はテレビアニメラブライブスーパースター!!EDシングル『未来は風のように』収録の『この街でいまキミと』について語っていこうと思います。

(『未来は風のように』(TVサイズ)についてはこちらの記事にて紹介しています) 

 

 

曲のレビューをするたびに毎度言ってるんですけど『この街でいまキミと』名曲ですね!! しかし解釈に迷う楽曲でもあります。

歌詞には「この友情はかわらないよ」とあるので素直に受け取れば友達同士の歌なんですけど、なんせラブライブ!は男のいなくなった世界。友情の歌のように見せかけた恋愛ソングなんじゃないか、とか邪推もしていまいます。

とはいえ、この曲が”ありきたりな恋愛ソング”だったらこれほどの魅力を備えてはいなかったでしょう。というわけで当ブログでもこの楽曲は恋愛ではなく友情の曲として紹介していきます。

 

ところで歌詞考察のまえに、ひとつ共有しておきたい点があります。『始まりは君の空』の考察(こちらの記事)にて、あくまで持論ですがLiella!の楽曲には「ふたりの登場人物」がいるということを解説しました。この楽曲にも(最低でも)「ふたりの登場人物」が登場します。どちらの楽曲も登場人物は同じだと仮定することで楽曲の解釈が深まるため、今回もその線で読み解いていこうと思います。(作詞家があちらは畑亜貴さん、こちらは宮嶋淳子さんで異なるため、独自解釈な可能性が高いのですが考察と書いて妄想と読むのはご存じのとおりですね?)もし『始まりは~』の考察記事を読んでいないようでしたら、あとで目を通していただけるとより分かりやすいかと思います。

 

さて、それでは始めて行きましょう。

・・・・・・なのですがこの楽曲は解釈が難しいんです。考察なんかしないでそのままま素直に聞くのが一番最高なんですよね。二番の序文なんて解説しなくても情緒の深みが強いじゃないですか。こんな素敵な詩を、あれこれ言葉を並べて講釈垂れるのはちょっと負い目を感じちゃいますね。

いえいえ、そんなことを言わずに好きの共有をしていこうよと自分に言い聞かせ、気を取り直して始めましょう!よっしゃ!(←『未来予報ハレルヤ』の考察記事はこちら)

 

 いつも待ち合わせより15分前集合

 駅の改札ぬける ざわめきにわくわくだね

 

秀逸な歌詞です。解説なんて不要な完成度の高いフレーズですね。宮嶋さん最高。

15分も前に集合、わくわくしている気持ちが伝わってきます。

 

 どこへ向かうかなんて 気にしないであるいてく

 いっしょに過ごすってこと それが一番大事だよ

 

 未来の色はまだ ぼやけて見えやしない

 ただひとつ分かるのは キミが キミが 好きだ

 

これもまた秀逸な歌詞です!!!解説不要!!!!

なんて言ってたら何も書けないのでちょっとだけ。歌詞のこの部分「キミが 好きだ」から恋愛の曲と読みたくなりますが、この楽曲の魅力は「友情」なところなのでぜひ恋愛ソングとしてではなく、友情ソングとして聞いてほしいです。恋愛ソングとしてとらえた場合と聞こえ方が全然変わるので面白いですよ!

 

 どんなときも踊るように 交差点こえていけ

 押し寄せる人の波 するりすり抜け自由自在さ

 

このフレーズからは『未来予報ハレルヤ!』の「交差点 はしゃぐ風 スカートひらり踊る」を彷彿とさせられますね。(『未来予報ハレルヤ』の考察記事はこちら)作詞はどちらも宮嶋さんなので「風」を大切なキーワードとしておられる方なのかもしれません。

 

 どんなときも踊るように 交差点こえていけ

 押し寄せる人の波 するりすり抜け自由自在さ

 キミは少し前の方で いたずらに笑ってる

 ありきたりないまでも 最高の「いま」さ

 この友情はかわらないよ

 

(歌詞の連続性に詩的な含みがあるので、重複ではありますがあえてサビの歌詞を冒頭から引用しています)

サビに出てくる「キミ」とはいったい誰を指しているのか、この解釈が難しかったです。特定の誰かではなく、友情の対象としての概念的「キミ」(つまり聞き手であるあなたに解釈はゆだねられている)とするのが順当な考察ではありますが、ここはあえて『始まりは君の空』に登場する人物Bであると仮定しましょう。主人公は人物Aです。

(『始まりは君の空』の考察はこちらの記事

始まりは~』において「未来への道がどこかに隠れているかも」「だから確かめにいこう」「手を繋いでおけば 怖くない!」と人物Bは主人公Aを励まします。『この街でいまキミと』にでてくる「キミ」を、この人物Bだと仮定すると

 

 キミは少し前の方で いたずらに笑ってる

 

 この部分の歌詞が意味を帯びてきます。「まだ名もないキモチが 違う明日を見たがって」いた主人公Aの手を引いてきた人物Bは「少し前の方」にいます。ちょっとだけ先を歩いているんですね。「いたずらに笑って」主人公Aを誘っているのでしょうか。

少し前」というフレーズから、主人公ABのあいだにはわずかな距離があることがわかります。わずかな距離=憧れの距離と言い換えてもいいでしょう。こう考えてみると情感の豊かさが増すでしょ?ちょっと強引な考察ですが、筆者好みなのでこのまま押し通していきましょう。

 

この調子で2番の歌詞に進みます。

 

 答えのないことばっか ループしてずっと喋ってる

 ペットボトルのしずく 指でもてあそびながら

 

秀逸!! なんて素敵な歌詞でしょう。ペットボトルからしずくが垂れていることから、季節は初夏~秋だと考えられます。(暑い日に冷えたペットボトルからしずくがおちるあれです)これがグラスのしずくだとファミレスやフードコートや喫茶店になるけれど、ペットボトルが選ばれている点も雰囲気最高です。

そしてこの楽曲を”恋愛ソング”としてとらえてしまうと色あせてしまうフレーズでもあります。いえ、恋愛ソングの場合は違う解釈が生まれるのでそれはそれなのですが、筆者は”友情ソング”としての解釈を推します。だってこの空気感、学生時代を思い出しませんか?

たとえば文化祭の準備のとき、渡り廊下でちょっとサボりながら濡れたペットボトル片手にくだらないお喋りをしたあの瞬間の永遠さ。この友情はかわらないよ、ってずっと信じていたあの瞬間の輝き、思い返せば切なくなるほどに胸の中で光っています。

 

 楽しい時間てさ なぜかあっという間だね

 心は空っぽで はずむ はずむ ひかる

 

心は空っぽ」はネガティブなイメージのあるフレーズですが、文脈から察するに「心は(不安とか悩みとかまるっきり)空っぽで」「はずむ」「ひかる」と捉えるのが自然でしょうか。

 

 ゆるめのリズム踊るように 一秒ずつを遊べ

 いつか手を伸ばしても 届かなくなる日がくるのかなぁ

 それでもいーんだ! 茜色に染まる空めがけて

 大きな声でキミに約束するよ

 この瞬間は永遠だって!

 

 セカイはどこまで続いてゆくんだろ

 分からないからキミといまだけを見てるよ

 

この楽曲の最大のエモパートです。

いつか手を伸ばしても 届かなくなる日がくるのかなぁ

ですよ? 学生時代のあの気持ちがわきあがって、胸が切なくなっていてもたってもいられなくなりそうです。だけど

それでもいーんだ!」「この瞬間は永遠だって!

瞬間は過ぎ去るからこそ瞬間なのであって、永遠とイコールにはなりえません。それでも「この瞬間は永遠だ」と言えるのは・・・・・・理屈や言葉で説明するものではありませんね。しかしひとつ言えるとすれば”過去は永遠に変わりません”変えられないからこそ、永遠に輝いてくれる。そんなふうに思えるのです。それゆえの「一秒ずつを遊べ」なんです。

セカイはどこまで続いてゆくんだろ

世界ではなく”セカイ”とするあたりに、歌詞の主人公(少年もしくは少女)にとって”世界はまだ遠くて実感のわかないもの”だということが伺えます。

分からないからキミといまだけを見てるよ

尊いですね。説明不要です。

この「いまだけを見てるよ」及び1番のサビにある「最高の「いま」さ」からは、ラ!サンシャイン!!『WATER BLUE NEW WORLD』の歌詞を連想させられます。いつか必ず訪れる明日だけれども「いまはいまで」「昨日とは違う」そして「明日への途中」でもない。そんなメッセージを思い出しました。

 

この流れで1番のサビを繰り返します。繰り返されたことでサビの意味が変わるのが面白い仕掛けです。

 

 どんなときも踊るように 交差点こえていけ

 押し寄せる人の波 およいでゆこう この街でいま

 

ラ!スパスタ!!の舞台は青山や表参道、原宿などです。あのあたりで交差点というと、あそこの大交差点でしょうか。「押し寄せる人の波 およいでゆこう」「この街でいま」あの街並みを歩いていく光景が目に浮かぶようです。

同時にこれは時代の流れや社会の風をも描写しているように思えます。「セカイはどこまで続いてゆくんだろ」「分からないからキミといまだけを見てるよ」からの「押し寄せる人の波 およいでゆこう」です。ちょっと不安な気持ち、未来が見えない気持ちが表現されているようです。

 

 キミは少し前のほうで いたずらに笑ってる

 ありきたりなことでも ぜんぶ特別さ

 わたしたちずっと友達だよ

 

瞬間は過ぎ去るからこそ永遠には続きません。けれど友達だった過去、胸のなかに名残る暖かさや眩しさ、好きな気持ちのカケラは変えられない過去だから永遠に消えません。「わたしたちずっと友達だよ」は、大げさでも、若さゆえの思い上がりでもなく「ありきたりな」「特別」を積み上げた結果たどり着く「この友情はかわらないよ」なのです。

 

どこへ向かうかなんて 気にしないであるいてく

未来の色はまだ ぼやけて見えやしない

ただひとつ分かるのは キミが キミが 好きだ

 


と、いうことで『この街でいまキミと』については以上です!

ここまで読んでくださりありがとうございました!!それでは、また次回お会いしましょう!

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(当ブログで行っているのは歌詞中心の考察です。歌唱やアニメーションを含めた全体の考察とは角度が異なるため解釈はこれに限らないことを注釈します)